満たされない依存心

社長を交代すると、新社長は今までには無い孤立感に悩むことが多い。
特に前社長の息子や娘が新社長になると、
従業員は特別な目で見て、前社長と比べることになる。

新社長は、従業員が前社長に抱いていた依存心をそのまま引き継ぐことになるのだ。

前社長が偉大な社長であったときには、このギャップは顕著なものになる。
社長という立場のため、新社長は自分の持っていた依存心を向ける先が無い。

依存心という言葉は否定的な意味合いを持つが、
「信頼関係を求める心」とも言える。
人間として満たすべき自然な心である。

新社長にとって、会社の組織を維持し、業績を上げると同時に、
前社長が築いてきたように、
従業員の依存心(信頼関係のニーズ)も満たす必要があるが、
それには時間がかかる。

自分自身が持つ依存心(信頼関係のニーズ)もなかなか満たされず、
新社長には「仲間」と呼べる存在がいなくなる。

このような立場になると、
従業員との関係は、「自分」対「彼ら」という意識が先行して
「我々」という意識がなかなか持ちにくくなる。

人間が基本的に必要とする、支えあい、確かめ合う、
相互に依存する関係が希薄になり、
その結果、外部の情報に過敏に反応する、脆弱な意思決定を行いやすい。

この結果、危うい儲け話に簡単に乗ってしまったり、
銀行が要求するリストラ策をそのまま実行してしまうことになる。

新社長にとって、この「満たされない依存心」をどうマネージするかが、
社長としての成功のポイントになる。

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