ファミリー内で立ち現れる役割(ロール・ゴーストロール)

前回に引き続き、ファミリービジネスを深く理解するために、ビジネスファミリーに起きがちなパターンをご紹介します。

●ロールとゴーストロール

ロールとは、具体的な行動や考え方の手本となる役割のことです。家庭をつくるということは、無意識に、家族の一員という役割を演じることが求められます。

例えば、子供が生まれると、男性は父親ロールを、また、女性は母親ロールを担うことが多いですが、必ずしも身体的な性別に限られるものではありません。良質な父性は、その家の価値観を示し、社会的、理性的に律する柱となります。良質な母性は、家族一人ひとりの存在を包容し、情緒を育て、心身ともにバランス良い環境を整え、安心や安全を確保してくれるものです。離婚した夫婦では、母親が父母の両方の役割を担うことになったり、母親を早く亡くした兄弟では、長男や長女が母親ロールを担う場合もあります。

父性と母性の両方が発揮されることで、家庭は円満に、持続的に、健康に育っていきます。しかし、そのどちらかのロールが欠落する場合、ゴーストロールと呼ばれる、それに代わる人間が現れます。例えば、女性性が充分に感じられない妻に対して、夫が外に愛人を作り、内面の不満を補おうとすることなどがあります。また、夫が家庭を律するだけの力が弱いと、その役割を自分の息子に託し、母と息子のつながりが異常なほど強くなってしまうことがあります。それらの欠落する役割のことをゴーストロールと呼びます。

私たちのあるクライアントは、ファミリー会議やカウンセリングを2年間継続される中で、ファミリービジネスには、「健康な父性と健康な母性が必須だ」と言われました。本当にそのとおりで、ファミリービジネスコンサルタントである私たちもまた、良質な父性と母性を発揮できるよう研鑽を積みたいと考えています。父性と母性は、健康なファミリーを営むために押さえておくべき大切なポイントです。これは、ビジネスを営んでいないファミリーにも大事なテーマです。

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