ファミリー内で立ち現れる役割(三角関係)

「家族とはこういうものだ」と一概に論じることは難しいものです。家族構成、時代、地域性、宗教、職業、経済状況、教育水準など、様々な背景によって状況が変わってきますが、ファミリー・セラピーの観点から、よく見られるパターンというものがいくつか見出さられています。例えば、「スケープゴーティング」と呼ばれる、フラストレーション状態を解消するため、本来無関係な個人や集団に原因を転移し非難・攻撃する、いわば家族の中の弱い者いじめがあります。いじめられ役が病気、事故などでいなくなると、別の誰かが新たにいじめられ役になることがあります。また、前の世代であった親子、兄弟の関係が次の世代でも同じように繰り返されることもよくあります。

ファミリービジネスを深く理解するために、ビジネスファミリーに起きがちなパターンをご紹介します。

●三角関係

ファミリー・セラピーの代表的なものです。例えば、強力なパワーを持つ父親あるいは母親(社長)と次世代の兄弟の関係です。平常時は兄弟は結託し、強権を発する父親(母親)と対立しています。父親と対立することで兄弟の関係は親密になり、良い関係が維持されています。しかし、いったん父親が兄弟に歩み寄ると、兄弟の間で対立が始まります。当人たちはこのパターンに気づかないまま、この固定化した関係を続けているのです。この場合、父親(母親)の死後にどうなるのか。社長、副社長としてあとを継ぐこの兄弟を親密にさせるような新たな敵が現れない限り、二人の対立は目に見えています。無意識に続けているこの固定化した三角関係に二人が気づき、真の問題解決に取り組むことが必要です。

「ひょっとして俺たち、オヤジ(おふくろ)との間の三角関係に陥って無意味な対立をしていないか?」とどちらかが言葉に出し、本当はどうなりたいかを話し合うことから解決する道が拓かれます。

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