ファミリー内で立ち現れる役割(グレートマザー)

ファミリービジネスを深く理解するために、ビジネスファミリーに起きがちなパターンをご紹介するシリーズ最終回です。

◆グレートマザー

人間が安心して暮らしていくための大きな拠り所となるのが、母性ではないでしょうか。日本文化の根底には、この母なるものが支配していると言われています。母子一体の感覚がベースにあり、安心や安全、安定感を与えます。結婚は、西洋では個人主義において他者同士が共に暮らすことですが、過去の日本では、母子関係の延長であることが根づいていました。

母性はよく作用すれば、存在を認め、無償の愛情で人間を育てます。しかし、度が過ぎれば、その存在を飲み込んでしまい、コントロールし、根腐れを起こします。

グレートマザーは、実在の人物が役割を担うこともありますし、幽霊のように肉体を持たないグレートマザーが、ファミリーメンバーの心の中に巣くって、ファミリーを支配することもあります。支配されていることに気づかず、ビジネスにおいても主体的な意思決定をするのでなく、当人は当然のように、操られた言動をしてしまうことがあります。

ファミリービジネスにおいて、そのファミリーの根本精神がどこからはじまったのか、グレートマザーに育てられているか、それとも飲み込まれてはいないかを客観的に判断する必要があります。グレートマザーの支配から逃れるためには、グレートマザーがいて支配されているということを認識をまずはすることです。それをファミリーで言語化し共有することでグレートマザーと適切な距離を保てるようになります。

ファミリー当事者では、なかなか気づかなかったり、固定化された関係を変化させることが難しいため、専門家の支援が大きな助けになるでしょう。

※画像は、グレートマザーを象徴するイメージ、ウロボロスです。

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