ファミリービジネス劇の配役

ファミリービジネスコンサルタントのDennis Jaffe氏が作ったファミリービジネスの物語に登場する、典型的な人物像を紹介します。あなたのファミリービジネスでは、これらの役割を誰が担っているでしょうか。

目次

《年長世代》

●創業者/家長:半ば伝説になりつつある恐竜のような存在。意見することが難しく、何かを教えることも難しい。新しいアイディアを聞き入れるのが難しく、地位を手放させることも困難。

●配偶者/女家長:感情面のリーダーで、陰の権力を握ることが多い。子供たちを気遣い、父と子の調整役を担う。ビジネスの共同創業者であることも多く、将来に対する強いアイディアを持つ。その存在は承継の時期には特に重要。

●最初のカップル:一緒に家に帰りベッドに入るエグゼクティブ・チーム。パワフルでミステリアス、温かくて厳しい、繊細で夢想的など、パワフルで柱になる会社を築く資質を併せ持った存在。

●おじいさん/おばあさん:彼らや祖先、創業家の物語は、ビジネスの価値観、アイディア、伝説の源泉である。彼らは伝統を表し、彼ら個人の人生を超えた象徴のような存在。

《次世代》

●長男:相続予定者であり、第二世代のリーダー。必ず他の人と比較される存在で、彼の欠点はファミリーの秘密であり、ビジネスの悩みの種である。

●反逆者・厄介者:ファミリーのスタイルを拒み、新しいやり方を提唱し、多くの場合、ビジネスに背く立場をとる子供。最終的にビジネスを救いにもどってくることもある。

●アウトサイダー:ビジネスからは距離を置くが、皆と仲の良い子供。アウトサイザーとインサイダーの両方の視点を持つことができ、難しい局面や危機的な状況では批判的になりやすい。

●義理の家族:ビジネスに嫁いだ有能な息子・娘。自己の能力を高めながらも、予期せぬライバル心や緊張を生み出し、年長世代の心の葛藤を高めたり、喜びを与えたりする。自分が認められている感覚を味わうことが難しく、自己を証明しようとしてしまいがちな難しい役回り。

●分家の息子/娘:別のファミリーから来た人間で承継の範囲内にいる。二つのファミリーがビジネスを所有する時、この人が困難や葛藤、対立を生みや出しやすい。

●間違った配偶者:ファミリーだけに嫁ぎ、自分はビジネスとは関係ないと思っている人。

《部外者》

●忠実な家臣:喜びも苦しみも分かち合い、ファミリーの能力を高めるが、相続人に対しては一歩引き、自分は財産を求めない。映画『ゴッドファーザー』のトムのように、ほとんどファミリーの一員となっている。日本では番頭さんとしてファミリーとビジネスを繋ぐ重要な役回りである。

●メンター:息子、娘を鍛える、父親代わりの人

●親友:父親や後継者が、善意に基づく明解で偏りのないアドバイスを求める相手。

出典:Working with the Ones You Love, Dennis T. Jaffe, Aspen Family Business Group, 2000

家族を営むことは、担いたくなくても何らかの役割を自然に担ってしまうことになります。この人間関係図を意識しながら、健康なファミリー、健康なビジネスを目指していく必要があります。一番の方法は、話し合う場を設けることです。そして、これまで言語化されていなかったことを、事実と情緒とを分けて共有することです。ファミリーメンバーだけでは、なかなか難しいことだと思いますので、そのためにファミリービジネスアドバイザーや心理療法家などの専門家が存在します。

シェアはこちら
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次