どんなビジネスファミリーにもファミリーガバナンスを

前回、前々回でご紹介した3つのファミリービジネスは、それぞれ規模が違い、創業からの年数も違います。しかし、その取り組みには共通するものがあります。それは、「ファミリーガバナンス」です。

ガバナンスという言葉は人によって様々な意味に用いられますが、私たちはファミリービジネスの組織を何世代にもわたって維持し、発展させるための手段のことを示すことにします。ファミリーガバナンスとは、特にファミリーを対象にした手段やしくみなどを、ビジネスガバナンスとは、ビジネスを対象にした手段やしくみの意味に用います。ファミリーの計画は、ビジネスと比べて長い時間軸で考える必要があります。ファミリーが長期的に取り組み、習慣や文化となるようにプロセスや手順を確立していくことです。特に次に挙げるような項目について取り組みます。

  • 戦略的目標の設定:ファミリー全体としてのビジョン・目標や個人の目標を全体のバランスの中で設定し、共有するための取り組み
  • 主要な人間関係の維持:夫婦、親子、兄弟、いとこ、はとこなど、ファミリーの成長と共に複雑になる人間関係のなかで絆を強め、和を保つなど、良い状態に維持発展させ、心身ともに健康な個人と家族を作るための取り組み
  • 説明責任の維持:何世代にもわたって発展していくために必要なルールを決め、共有し、時代の変化に合わせて修正を行うための取り組み

ビジネスやオーナーシップにかかわるファミリーの人数の違い、歴史の違いによって、具体的な活動の内容は違いますが、先に事例で挙げた3つのファミリービジネス(近藤電器店、清水商会、山元グループ)が行っているのは、ファミリーガバナンスのための活動です。

ファミリーがしっかりとしたガバナンスの仕組みを持ち、自らを律するルールを持つことは、ビジネスに属する非ファミリーの人たちに対する強いメッセージになります。それは、ビジネスの守護者であり、将来にわたって競争力の源泉であろうとするファミリーの強い決意を伝え、非ファミリーの経営幹部、従業員が存分に力を発揮する動機づけになるメッセージです。

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