どの段階のファミリーにとっても、基本的に大切にしていただきたいのが夫婦のミーティングです。ファミリーの基本単位は世帯、つまり夫婦と子供の単位です。
夫婦のミーティングに、わざわざ日時や議題を決めて行うのは不自然だとおっしゃる方があるかもしれません。しかし、自然の成り行きに任せていては、ファミリービジネスは三代続かないことが実証されています。ましてや、夫婦という関係は、社会制度の維持のために、いわば人工的に形作られているものです。
夫婦関係を単純に自然の成り行きに任せていれば、家族制度は崩壊していくことになるでしょう。夫も妻も、ともに意識して維持する必要のあるものなのです。夫婦の愛情に基づいた家庭の運営のためだけをとっても、夫婦のミーティングは重要な課題です。ビジネスやオーナーシップが絡む夫婦なら、なおさら、あえてミーティングの場を設けるのは必須といえます。
10組の夫婦がいれば、10組の形があると思いますが、共通して言えるのは、時間を設けて、事実と感情を分けながら、ファミリーのテーマ、ビジネスのテーマを二人で話し合うことが必要だということです。二人で整理、納得して活動すること、そして信頼関係を育てていくことは、本人たちのためだけでなく、子供たちのため、親族のため、ひいては社員のための大切な核をつくることであり、ファミリービジネス全体を健康に運営する源になります。
ファミリービジネスを営むファミリーには特に、結婚を考える際には、きちんと話し合いのできる、関係性を大切にできる、共に目標を目指せるパートナーであることが大切です。
家庭づくりは恋愛の延長ではない
恋愛は二人だけの関係で完結します。しかし、結婚し家庭を持つと、恋愛とは違い、様々な役割が出現し、その役割から生じる責任を全うする社会を形成することになります。
ファミリービジネスにおいては、結婚生活の土台となる夫婦関係をどのように育て維持していくかが、一族や事業にも大きな影響力を持つことを認識しておくべきです。
嫌いになったら別れればいい、という恋愛感覚では済まされません。恋愛感情という自然な、動物的なレベルの関係に加え、家庭の経営という、人工的で社会的な関係を築き発展させる決意が必要になります。その意味では、かつて日本でも盛んだった「お見合い」は、はじめから双方がその役割を担う覚悟を決めることになるので、理にかなった方法のひとつなのかもしれません。
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