ファミリーミーティングの柔軟な運用:費用、ビジネスの議論をしないこと等

ファミリーミーティングをしっかりした組織にしようと、運営を厳密にし、強い強制力を持たせ過ぎてしまうと、かえって失敗することがあります。

硬直的な組織は破綻しやすいものです。適度な柔軟性や融通も必要になります。そのためには、ファミリーのコミュニケーション能力や健全なファミリーの関係、そしてファミリービジネスの永続と繁栄に対する強い決意が重要です。

最終決定権を家長にゆだねるかどうかはファミリーごとに決めることですが、たとえ家長が最終決定権を持つとしても、家長ひとりだけが発言を独占するのではなく、全員が対話に参加することがファミリーミーティングの成功の条件です。互いの考えを自由に発言し、理解しあう風土を作ることが極めて重要です。

ビジネス議論の場ではない

もうひとつ注意すべき点は、ファミリーミーティングはビジネスの討議や意思決定の場ではないということです。オーナーの立場で取締役や経営陣を評価することが必要になることもあるかもしれません。また、ビジネスに参加しているファミリーメンバーが多いときには、自然に経営上の議論に話が進みがちです。しかし、ファミリーミーティングで扱う本題は、そのことではなく、強いファミリーを作るということです。その点にしっかりと照準を合わせることが必要です。

費用の透明性の確保

ミーティングにかかる費用を把握し、予算をとっておくことが現実面では大きな課題です。ファミリーの活動は、ビジネスから見ればあくまでもプライベートなものです。費用に関しては、事業会社にとって公私混同にならないよう、充分な配慮が必要です。オーナーのポケットマネーで行う、ファミリーの持ち株会社が費用を負担するなどの方針を明確にしておく必要があります。

また、支出の一部は会社のIR費用として計上する可能性もあります。支出の性格が公私混同にあたるかどうかの基準を明確にし、税務面では税理士の見解も参考にする必要があります。

予算組みすべき主な費用は、会場費、飲食費、資料(本、その他)、交通費、コンサルタント費用、事務局人件費などです。ファミリーによっては、評議員に報酬を支払う例もありますが、通常は報酬なしで行います。報酬を支払う場合は、ファミリー評議会規程などで明確に定めて透明性を確保しておきたいものです。

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