社外取締役か、諮問委員会か?

前回のブログで、ファミリービジネスにおいて社外取締役の重要性をお伝えしました。

しかし、社外取締役は法的な責任を伴うため、拘束力のない「諮問委員会」として社長や取締役に対するアドバイスを行う方法もあります。社外取締役か、諮問委員会かという問題に対して、参考にしていただきたい話があります。

ドル紙幣の用紙を一手に担う220年の業歴を持つ米国の紙メーカー、クレイン社の元会長のLansing Crane氏が2013年のFFI(Family Firm Institute)年次大会で語った話です。

1980年代に、従来の5つの事業分野(カーボンペーパー、青写真用紙など)の市場が縮小し、危機的な状況に陥った時、取締役会を改編しました。役員の半数を社外取締役として、5つの分野のマーケットを対象とする「紙メーカー」から、世界一のセキュリティー(偽造防止)技術を追求する「通貨メーカー」へと戦略を大転換した経緯が語られ、このプロセスで社外取締役の果たした大きな役割と共にファミリービジネスにおける社外取締役の重要性が強調されました。

その中で諮問委員会よりも社外取締役を薦める理由として、Crane氏が「権威がなければアカウンタビリティーもない」と明言したのが印象的です。責任ある立場のほうが発言者本人の当事者意識も高まり、まわりに対して重みのある発言になるのです。危機的な状況にあったクレイン社では大きな戦略転換が必要であり、その状況では強い権限を持つ社外取締役が必要だったのです。

社外取締役か、諮問委員会か、この違いは権威、権限の違いです。つまり、社外取締役や諮問委員会に何を期待するのか、これによって選択が変わってくるということです。

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