ファミリーとビジネス、ガバナンスのバランスポイント

ファミリーガバナンスとビジネスガバナンスの橋渡しをする部分については、それぞれのファミリービジネスで様々な取り組みが行われています。これらの取り組みをモデル化したものとして、「バランスポイントモデル※」があります。

これは、ファミリーとビジネスという2つのグループの異なる利害関係を調整し、統一することを「バランシング」と称し、これが行われる場所を「バランスポイント」と呼ぶものです。

創業期には、通常は創業者がひとりで次の3つの役割を担います。

●オーナーの役割:後継者を決める、ビジネスの売買の意思決定、配当の判断、取締役 の指名、事業に対する個人保証など
●取締役会の役割:承認、経営、戦略など。マネジメントの意思決定を承認することで社長の信頼性を高める、オーナーのニーズをマネジメントに翻訳し、調停する
●マネジメントの役割:実際にビジネスを動かす、会社を運営する、戦略的意思決定を行う、後継者を育てる

上記の3つをひとりで担うことで、創業者自身がバランスポイントとなり、利害の調整を行います。ところが、創業者が引退するときには、バランスポインは別の誰かに移るか、あるいは組織的にそれを担うことになります。このバランスポイントを誰にとっても明確になるように設計し、公式なものとして形づくることがバランスポイントの要点です。

このバランスポイントに最も適した場所は取締役会であると言えます。オーナーグループの利益とマネージャー(執行役員)グループの利益を、取締役会が調整、統一する役割を担うのです。

※The Balance Point, Cary J. Tutelman and Larry K. Hause, Famille Press, 2008

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