遷宮と事業承継

伊勢神宮には、20年ごとにお宮を新しく造り変える「式年遷宮(しきねんせんぐう)」という慣わしがあります。

東西それぞれの同じ広さの敷地に、20年ごとに社殿を新しく造るものです。新しくなるのは建物だけでなく、社殿に納められる装束や神宝なども作り直されます。遷宮は1300年前に天武天皇によって定められ、2013(平成25)年の遷宮は第62回目とのことです。この遷宮によって、神宮はいつも新しく、1300年前と変わらない姿を保つことができるわけです。

世界の様々な文明が、永遠を求めてピラミッドをはじめとする石造りの建造物を造ってきました。しかし、その建物が朽ちるころには、それを造り直す技術を持った人たちは生きておらず、技術は消滅してしまうことがほとんどです。

20年は昔の一世代にあたります。20年に一度繰り返される伊勢神宮のこの事業によって、御宮を造る技術は次の世代へと引き継がれ、失われることがありませんでした。引き継がれたのは建築技術だけでなく、建築に使う木材や資金の調達、遷宮を支える全国の組織、そのための人材育成など、事業そのものが継承されることになりました。天武天皇は、神宮が1300年の間、常に新しく神聖な場所であるための仕組みづくりを行ったということです。

天武天皇が伊勢神宮に永続の仕組みを取り入れたように、私たちもファミリービジネスに培われた精神、技術、ノウハウ、信頼、ネットワークを次世代、次々世代につなぎ、繁栄と永続の仕組みを取り入れようとしています。

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