
どうしたら簡単に次の世代が会社を失うのか、というある雑誌の記事※をご紹介します。
- 遺言を書かずに死ぬ「弁護士と税務署を喜ばせよう」
- 家族と会社の幹部には、資産承継と事業承継の考えを秘密にしておく。事業の承継を、プロセスでなく(自分の死によって起きる)ひとつのイベントとして扱う。
- 会社の株は子供に引き継がせると決めつけた資産承継計画を立てる。家族にビジネスをどうしたいかということは絶対に聞かない。「子供たちには自分たちのことを自分たちで決める能力はない」と思い込んでいる。
- 生命保険に入らない。「会社には相続税を払う金は充分ある」
- 子供たちを自分の会社に無理やり入れて、簡単にあとを継げるようにする。「学校でしっかり勉強したのだから、少し休んでもいいだろう」
- 息子の嫁や娘婿を自分の会社から遠ざける。「結婚が一生続くとは思えない」配偶者には関係ないこと、と思い込んでいる。
- どんな形にせよ、会社のコントロールは死ぬまで手放さない。「自分が育てた人間は俺が死ぬまでずっと忠実で辛抱強いはずだ」と思い込んでいる。
- 息子がビジネススクールを卒業したらすぐに大きな権限を与え、娘の権限は少なくする。娘には朝の会議にコーヒーとお茶菓子を忘れないように伝える。
- 取締役は自分と妻だけ、他人は入れない。「部外者に何ができる?金がかかるだけだ」
- 「株主間協定」(株の売買に関する規定)なしに家族や従業員に株を渡す。会社の株が少しくらい他人の手に渡っても、どうということはない。社長が高い報酬をとり、働かない家族に給料を払い、株主に配当を出さない理由など、誰だってわかるはずだ。
- 今までのやり方がベストの方法だ。新しいマネジメント手法や戦略プランなど、うちには必要ない。「目の前の仕事で手一杯だ。将来を考えたり講義を聞いたりしている暇はない」
- 顧客や仕入れ先との大事な人間関係は自分が受け持ち、商売の秘訣は自分だけが知っていればいい。誰も信用できない。たとえ身内であっても。
- 毎晩の家族との夕食で仕事の問題を話し合い、取締役会で家族の問題を話し合う。「みんなの役割を混乱させよう」
世代交代をどう考えていくか、多くの示唆があります。大切な点は、世代交代を瞬間的な出来事としてではなく、しっかりと計画して時間をかけて行っていくプロセスとして考えることです。これはオーナー社長がひとりだけで行うことではなく、オーナー社長がリーダーシップをとりながら、関係者がそれぞれの立場で参加していくプロセスです。
※『Family Business Magazine』 Family Business Publishing Company 2010
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