後継者が経験しておくべきポジション

リーダーとしての経験を積むために、社長交代までに後継者にお勧めのポジションがいくつかあります。

新規プロフィットセンターの長

例えば、新店舗や新支店の長のポジションは、リーダーシップ育成の好機です。副支店長ではリーダーシップの育成にはつながりません。たとえ小さい部門でも、部門のトップを経験しましょう。

ベンチャー子会社の長

原材料メーカーが製品分野へ進出する、老舗レストランが惣菜ブランドを展開するなど、ビジネスを企画し軌道に乗せる体験は、後継者のリーダー能力を格段に高めるものです。一方でベンチャーは計画通りに進まないことが常です。事業の成否だけを後継者の能力判断の基準にしないことが重要です。

プロジェクトリーダーの兼務

中長期戦略プランの策定プロジェクト、工場の新設・閉鎖プロジェクト、人事考課制度の策定プロジェクトなどのプロジェクトリーダーを兼務します。次期経営チームのメンバーと戦略立案することは、後継者を中心としたチームワークを高める効果が高いことが学術的に検証されています。私の経験でも、特に事業承継計画の中に位置づけられた次世代経営チームによる中長期戦略策定プロジェクトは、真剣な議論が行われ、回を重ねるごとに参加者の意欲も高まり、またとない次世代教育の機会となりました。ポイントは、社長交代の時期が明確に発表された上でこれを行うことです。

資金の流れが把握でき、資金繰りに携わるポジション

月次や年間の資金がどのように動いているか、売掛金回収や銀行との交渉に携わることで、会社の実態を知り、何が可能で何が不可能かを知ることができます。

ビジネス上の明確な課題や必要性があれば別ですが、例えば「経営企画室」を新設し、後継者をその長に置くというような、後継者のために新たなポジションを作ることはお勧めできません。後継者の権威づけだけを目的としたポジションは機能せず、リーダーシップ育成にも役には立ちません。

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