社長の最も大事な仕事

前回までロバート・ディルツ氏のニューロロジカルレベルについてお話しました。

リーダーシップという点での社長の最も大事な仕事は、社員の自己認識レベル(存在そのもの)をサポートすることです。

その社員の貢献度の高い低いに拘わらず、褒めるにせよ、叱るにせよ、彼/彼女が会社の重要な一員であることを認め、そのメッセージを伝え続けることです。自分のことを相手に認めさせることに躍起になる前に、まず相手の存在そのものを認め、存在を大切に扱うことです。

私の失敗体験は、自分が学んだMBAの知識を、相手に説得することが優先し、幹部社員たちを認める前に自分を彼らに認めさせようとしていました。彼らをねぎらい、承認することは、ほとんどありませんでした。そのかわり、「自分を認めろ」というメッセージを発し続けていました。それがリーダーシップだと勘違いしていたのです。

一方、その後、私のチームが上手くいったプロジェクトでは、大きな夢とそこに向かう方針をチームメンバーと共有し、彼らを何度となくねぎらい、ときには叱咤激励しながら、彼らがのびのびと活躍できる場を作ることに専念し、一人ひとりの活躍を楽しみにみていました。私は「自分を認めろ」という前に彼らを認めていたのです。

自分を認めろという前に相手の「自己認識」のレベルで、相手の存在そのものや相手の使命感や役割を認めること。ロバート・ディルツが「スポンサーシップ(後見)」と呼ぶ、このリーダーシップこそ、当時のMBAでは学べなかったものであり、大きな失敗を通して学んだものです。ファミリービジネスを支えている経営者の皆さんに強調してお伝えしたい、重要な柱のひとつです。

ニューロロジカルレベルに当てはめると、社長の最も大切な仕事は、組織のロジカルレベルとメンバー個人のロジカルレベルの整合であり、図の「スピリチュアル」、「信念・価値観」、「能力」を、組織全体、社長個人、メンバー一人ひとりの中で研ぎ澄まし、育むことです。

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