事業承継時のファミリーの準備

ビジネスのリーダーが交代するときには、ファミリーの支援が必要です。特に交代の時期には、社長と後継者の関係にはストレスがつきまといます。

後継者の選定に関しては、ファミリーミーティングなどで、ファミリー合意することが必要です。後継者はオーナーファミリーが一致して認めた人である、というメッセージは、ビジネスでの事業承継を円滑にする力を持っています。また、事業承継がファミリーにどのような影響を与えるのかということもファミリーの中でよく議論し、共通の意識を持たなければなりません。承継のプロセスもファミリー内で共有し、問題を早めに解消する話し合いが重要です。

社長夫人(後継者の母親)は、このときに重要な役割を担います。それは、
CEO: Chief Emotional Officer) 最高情緒管理責任者として、社長の腹心となり社長の心と体の健康を管理すると同時に、ファミリーとビジネスの情緒全体に影響を与える重要な役割です。

ある四代目社長に聞いた話です。若い頃社長交代の時期に父親(会長)と経営に関する意見が対立し、母親が夕食の準備をするそばで父親と口論になり、大声で怒鳴り合うことが何度かあったそうです。ある日、父親との怒鳴り合いの後で、父親が席を立ったのを見計らって、母親が「お前はまだまだだね。お父さんとおじいちゃんはもっと激しくやりあったよ」と諭したそうです。このような形で息子の情緒を管理できるのは、ファミリービジネスの真髄を理解した、素晴らしい母親であり、CEOではないでしょうか。現在では、後継者は息子に限らず、娘ということもあり、後継者の資質や性格によって、支援の仕方も変わってくるでしょう。いずれにしても、先代の妻はファミリーにおいての鍵となる重要な存在です。

ファミリーには世代交代に関するストレスの理解と支援のため、この時期には特にファミリー会議を通して情報共有と意思疎通が重要です。また、社長夫人のみならず、後継者夫人、そのきょうだいやパートナーたちも、世代交代時のファミリー全体の情緒管理に大きな影響力を持っています。

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