ファミリービジネスのほうが業績が良い

ファミリー企業と非ファミリー企業を比べると、どちらのほうが業績が良いのか、という調査が世界各国で行われました。

その結果は、ほとんどの先進諸国においてファミリー企業のほうが業績が良いというものでした。「ファミリービジネス白書2022年版」においても業績比較が行われ、複数の各指標において、ファミリー企業のほうが優位であるという結果が出ています。ファミリー企業のほうが資産を有効に活用し、健全な財務内容を保つ力が強いということです。

また、業績のほかにも、ファミリー企業の特徴として、高い永続性があげられます。創業200年を超える長寿企業のほとんどはファミリー企業です。長壽企業の特徴として、長期的な視野で経営され、ステークホルダーとの信頼関係は親から子へと受け継がれる、というものがあります。安全性を重視した財務戦略をとりつつも、迅速な意思決定による大胆な戦略転換によって環境変化に対応することができるのも特徴です。こうした努力によって、成功するファミリー企業は高い永続性を保持しているのです。

進むファミリービジネス研究

1970年代、経営学の世界では、先進国においては、専門経営者による資本主義が主流となり、ファミリー企業はその移行段階の一つに過ぎない、とされていました。ところが、1980年代に、世界の優秀な企業の多くはファミリー企業であり、それまでの考えが必ずしも正しくないことが明らかになり、ファミリービジネス研究が盛んになってきています。

ファミリービジネスは収益性が高く持続力も高いことが確認されています。主な研究誌であるFamily Business Reviewは、全米経営学関係の103誌の中で上位にランクインしているほどで、世界182の大学・大学院がファミリービジネスの学生や社会人向けのファミリービジネスのコースを提供していて創業・オーナー家の子弟や一族、経営陣が学んでいます。

初期のファミリービジネス研究は、事業承継をいかに円滑に行うかといったテーマが中心でした。創業世代から第2、第3世代へと進むにつれて、カリスマ的なワンマン経営からチームによる経営へ、さらに創業家のオーナーシップの元で非ファミリーの専門経営者へと移行するプロセスや、各段階で生じる課題などが研究されました。

その後非ファミリービジネスの業績比較が盛んに行われ、我が国を含め、世界の主要国でファミリービジネスの業績が非ファミリービジネスを上回り、持続性も高いことが確認されました。ファミリービジネスはなぜ強いのか、創業・オーナー家の長期的コミットメント、ファミリーが持つ価値観がビジネスの競争優位性を高めること(これを「ファミリネス」と呼ぶ)などが論じられました。

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