経済・教育・生活の根幹を担うファミリービジネス

ビジネスファミリーの中には、教育に夢を向けるファミリーも数多くあります。

多くのファミリービジネスが、私立学校の創設者になったり、スポンサーになったりしています。たとえば、創業250年の名古屋の衣料メーカー「タキヒョー」は、大正時代に滝実業学校(現在の滝学園)を地元に創設し、青少年育成に寄与しました。このような例は枚挙にいとまが無く、ファミリービジネスは日本のフィランソロピーの基盤になっているのです。

ロックフェラー一族やロスチャイルド一族の慈善事業をはじめとして、海外でもファミリービジネスが地域経済に貢献する事例は数多くあります。例えばイタリアでは、1910年創業のイタリアの紳士服メーカー「エルメネジルド・ゼニア」は、現在第4世代のファミリーメンバー達が経営に携わっています。彼らは創業者の遺志を引継ぎ、地元トリベロ地域の発展のため、長さ14㎞に及ぶ道路を建設、病院、学校などの公共施設を建設し、地域の基盤を整備しました。現在では周辺の山林の植林を行って地域の環境整備に貢献しています。

このような明確なビジョンを持ったファミリービジネスでは、ファミリーのメンバーは、自分がファミリーに属していることに誇りを持ち、ファミリービジネスに対する関心が高まり、ひいてはファミリー力を高める意欲につながります。社会貢献が、社員のみならず、ファミリーメンバーの意欲も高める、という好循環になるのです。

大規模なファミリービジネスが慈善事業や文化事業を目的として財団を作ることは、ファミリーの夢の共有に大きな力を与えるものです。また、財団が会社の株を所有することで、ファミリーのオーナーシップを安定させるという副次的な効果にもなります。

日本全国の商工会議所や青年会議所などは、基本的にファミリービジネスの地域ネットワークと呼べる存在です。地元の会員として、何代にもわたり信頼関係を積み上げてきたネットワークがあります。このファミリービジネスのネットワークが地域経済活性化のカギを握っています。東日本大震災の後、復興に向けた原動力の背景には、これらファミリービジネスのネットワークの力が大きいのです。多くの地方の中核企業であるファミリービジネスは、地元のベンチャービジネスの育成に積極的です。この意味からも、ファミリービジネスは我が国の経済の根幹を担う存在であると言えます。

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