常に変化するファミリービジネス:三次元発展モデル

ファミリービジネスのスリーサークルモデルに時間軸を加えて見てみましょう。 
三次元発展モデルが示すのは、ファミリー、ビジネス、オーナーシップのそれぞれのシステムが時間とともに変化する姿です。



●ファミリーの発展段階

ファミリーにおいては、大きく四つの段階に分けてみることができます。近年は高齢化も進み、個人の人生の選択肢が多様化し、必ずしもこのとおりではありませんが、ざっくりと流れをつかむために見てみましょう。

1)ヤングアダルトファミリー 40歳以下
結婚から子供が学校を卒業するまでの、夫婦共働きから子育ての時代です。出産、育児期間中は夫だけが働くことになりますが、その後は仕事と家事の両立や、年をとる両親との新たな関係が課題になります。仕事と家事を夫婦でどう分担するかが課題になります。

2)子弟参加 35~50歳
子供たちは社会人となり、中にはファミリーの事業に参加する子供もあります。子供の進路、結婚、自分や兄弟姉妹の子供を自社に入社させるかどうか、などがこの段階の課題です。子供の独立、経営での権限委譲など、「手放すこと」を学ぶ時期でもあります。

3)親子共同就業 50歳~65歳
自分と子供の二つの世代がビジネスパートナーとして共に働く段階。親子、兄弟姉妹、義兄弟、従兄弟、叔父、甥など、幅広い年齢層と複雑な関係を作ります。ビジネスの業績がよければ彼らに十分な報酬と役職を与えることができますが、業績が悪い場合には、彼らと苦しみを分かち合うことも必要になります。

4)世代交代 60~75歳
次の世代への移行の時代。十分な準備が必要とされる時です。早すぎず、遅すぎずのタイミングが重要です。引退後の生活設計と金銭的な保障が課題になります。周到な準備と決意が必要になります。

我が国の社長の平均年齢の推移をみると、社長の年齢も高齢化していることが分かります。 [東京商工リサーチ] 世代交代のタイミングも、ひと世代前と比べると遅くなっていることは私も実感するところです。社長が70代、80代と現役で現場の指揮を執り続けた時、次の世代も中高年となり、事業承継後のビジネスに活力をもたらすことが難しくなる、という問題を目にすることがあります。このことも、今日の事業承継に迷いを生じさせている要因の一つといえます。

世代交代はファミリービジネスの永続にとって最大の難所ともいえます。このステージをいかに計画的に乗り越え、次の世代に渡していくかが重要な課題です。

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