ファミリービジネス:構造的なパラドックス

構造的なパラドックス

ファミリービジネスのスリーサークルモデルが示すのは、ファミリービジネスは相容れない要素が共存することで成り立つ、複雑なシステムであるということです。このシステムの中で生きる人にとって、大切なのは、パラドックスの中で生きていることを知っておく、ということです。この認識があることによって、無意識に環境に振り回されるのではなく、環境を変えていく工夫ができるようになるからです。

愛情か成果か

スリーサークルモデルから読み取れることは、ファミリービジネスの経営が一般企業のそれと大きく違う点です。ファミリービジネスは、ビジネスという成果や効率を重視するシステムだけでなく、ファミリーという感情や愛情を重視するシステムが重なり合っているということです。両者は互いに矛盾する価値観で成り立っているものです。この矛盾しあう二つのシステムをいかにうまく統合できるかがファミリービジネスの強みを生かして成長するカギになります。この統合に失敗すると、ファミリービジネスは衰退の道をたどることになります。

ファミリービジネスのリーダーは、単にビジネスシステムを経営するだけでなく、ファミリーシステムの経営も担い、ファミリービジネスシステム全体を視野に入れ、その将来を担っていることを認識する必要があります。

株を分散するか、集中するか

三次元発展モデル、オーナーシップの発展段階でお話ししたテーマです。集中オーナー型をとるか、分散オーナー型をとるか、あるいはその折衷型とするか、財産の公平な分配を旨とするファミリーの理論と、議決権を集約して効果的な意思決定を行うビジネスの理論が葛藤する問題です。

シェアはこちら
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次