映画House of Gucci でみるファミリービジネス 後編

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Gucci家が株を売却してからのことは、映画の中では描かれていませんが、Gucciブランドはその後大きな発展を遂げます。

フェラガモ、エルメスなど、ファッション業界にも、創業ファミリーとして、大株主として、順調なビジネスも多数あります。Gucci家には、残念ながら、ファミリー全体で共有する、一貫した理念が欠けていたようにみえます。

皮肉なことに、映画の中で、マウリツィオ(だったと思います)が、「ブランドの価値はファミリーのキャラクターにある」(字幕ではブランドの価値は品質にあると誤訳されていたようですが)と言っていますが、実際には、Gucciファミリーは、そのことを体現できませんでした。その結果、他者の手に渡り、その後大きく成長することになったのです。

私たちWellSpringは、「なぜファミリーでビジネスをするのか?」、「われわれはビジネスを育てるにふさわしいファミリーか?」を問い続けることが大切だと思っています。Gucciファミリーはこのことを問うていなかったのではないでしょうか。

ファミリービジネスの目指すところは、温かいハート(ファミリーの幸福)と豊かなポケット(ビジネスの繁栄)を両立させることです。ファミリービジネス研究者のShama氏は、多くの事例を研究した結果、どちらもない状態であれば、ファミリーのハートを温める方を先にすべきで、ファミリーのハートが冷たいままでは、先にポケットを豊かにしても、また元にもどってしまう、と述べています。Gucciファミリーはこの研究の通りになってしまいました。

映画『ハウス・オブ・グッチ』|大ヒット上映中 (house-of-gucci.jp)

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