杓子渡しとファミリーガバナンス

ビジネスファミリーとお付き合いさせていただくと、それぞれのお家のカラーに気がつきます。ファミリーが外向的か内向的か、穏やかかパワフルか、華やかなことがお好きかか地味な方か、文科系か体育会系かなどなど、資質や趣向が色の違いを出しているように感じます。

さらにお話を聞いていくと、近年は核家族化して見えにくくなっていますが、それは世代ごとに変化しているようです。それは、その世代ごとにくる「お嫁さん」の色が多分に影響しているように思えます。

これまでのファミリーの文化の歴史に、新しく「お嫁さん」の文化が、誤解を恐れずに言うならば、異物として加わり、統合され、新たなファミリーの色になっていきます。しかし、このプロセスは簡単ではありません。いわゆる嫁姑問題はこのような背景のひとつの要因になっています。ストレスが高い状況で、ちょうどビジネスにおけるオヤジとムスコの対立と相似形になっているようにも見えます。

「杓子渡し」という言葉があります。広辞苑によると、「主婦権の譲渡。姑が嫁に家政を任せること」です。実際にかつて長野県や岩手県、新潟県で大晦日の夜に姑から嫁にしゃもじと手ぬぐいなどを渡して「これからおめえが家事一切をきりもりせえ」という行事があったそうです。ファミリーの世代交代、権限移譲をうまく行う知恵ではないでしょうか。

イエという概念が薄れてきて、儀式としても杓子渡しがなくなった現在、このファミリーの世代交代のしくみを、「ファミリーガバナンス」という観点から、皆で話し合ってみてはいかがでしょうか。

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