現社長の引退を促すもの

後継者からの相談で一番多いのは、「社長の引退がいつになるのか?」で、「引退の話をどう切り出したら良いか」に悩まれています。

現職の社長が、引退すべき年齢になっても引退することが難しいという研究がされています。引退することが難しいのはなぜでしょうか。答えはひとつではなく、様々な理由があげられます。例えば、現職の社長の帰属意識、後継者との関係、ステークホルダーとの関係、会社の業績などが研究対象になってきました。

その中のひとつ『Family Business Review』の2011年で紹介された論文に、マリエンヌ・ガニエ氏、カルステン・ロッシュ氏らの研究があり、現職社長の「目標調整能力」と「後継者との関係」に焦点を当てています。

目標調整能力は、コルチゾール分泌や睡眠や健康状態などの生理的な状態とも関係があるとされています。目標調整能力は、目標離脱能力(今の目標をあきらめること)と目標再設定能力から成り立ちます。次の3つの仮説が実証されました

1.目標離脱能力が高いほど、退職に向けてのアクションが踏み出せる。

2.目標再設定能力が高いほど、退職後の期待が高くなる。

3.目標再設定能力が高いほど、退職に向けて具体的なステップを踏むことができる。

目離脱整能力や目標再設定能力が低い現職社長でも、後継者との信頼関係が高まるほど、結果的に1.引退に向けたアクションを踏み出せたり、2.期待が高まったり、3.具体的なステップを踏むことができることが確認されました。

多くのファミリービジネスに助言をしているランズバーグ博士も、後継者が社長や社員の信頼を得ることが社長に引退を考えさせるための一丁目一番地だと言っています。後継者に対する周囲の信頼度が高まるほど、引退についての議論が早まるとも言っています。

「オヤジが引退してくれない」と嘆くのであれば、能力を発揮して周囲との信頼関係を高めることです。

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