親の引退についてどう話したらいいかステップ3:準備すること

先々週に引き続き、親の引退についてどう話したらいいか ランズバーグ博士の回答ステップ3をご紹介いたします。ステップ3は「準備すること」
出典:“Enabling Next Generation Legacies ” Peter Jaskiewicz & Sabine B. Rau 著

承継の準備が整ったかどうかを測る、最も基本的な尺度は、重要な意思決定が親世代か次世代か、どちらに任されているかです。次世代は以下のことを自問すると良いでしょう。

  • もし今日両親が突然いなくなったら何に困るか?
  • 事業の経営はどうなるか?
  • オーナーシップはどうなるか? 
  • ファミリーはどうなるか?

    これらを考えると、次世代や取締役会が、今すべきことが見えてくるでしょう。

    どんなシステムにおいても、承継というものは、生理的な時計によって導かれるものです。最初に引き渡される責務は、経営管理上の役割でしょう。次には、財産の承継で、その後に議決権(オーナーシップ)の承継でしょう。ファミリーのリーダーシップの承継は、最後になるのが一般的です。なぜなら、ファミリーのヒエラルキーが最も根強く、緊急度が低いからです。あるクライアントは、子どもの定義とは、生きた親がいる人のことだ、と言っています。

    ファミリーのリーダーシップが引き継がれたという目安は、ファミリーの集まりや休暇や行事が両親の家ではなく、次世代の家で行われるようになることです。この自然な進展は、高性能のGPSのように、次世代への移行と生産的な対話を導くものになります。

    両親が世代交代後にどんな生活になるかを想像できるように促すことも、また大事なことです。承継には、目的地とその行程が必要です。両親が望むような役割や生活に導かれることの方が、不案内で望まない役割を押し付けられることよりも、ずっとたやすいことです。この意味で、両親自身が、承継後にも目的が明確で充実した生活を続けられることを見通せることが大事です。次世代リーダーは、しばしば両親のスキルや能力が、他社の取締役会やフィランソロピー、コミュニティ活動、政治や新規事業などの新しい舞台に再投入できることを忘れがちです。

    次世代は、「事業承継の敵はサプライズである」ということを心に止めておくべきです。

    オーナーや取締役や経営幹部が承継を考え始めてから計画が完了するまでに5年から10年かかるものです。そして、事業承継計画には、予期せぬ事態が起きたときにファミリーがどう対処すべきかという、危機管理計画も併せて検討することが不可欠です。私(ランズバーグ博士)のこれまでの経験で、事業承継計画の担い手の後継者が突然死去するという事態を支援することが何度もありました。

    結論として、このプロセスでは、次世代が引退の会話を直接行う必要性は少なく、適切な条件が整っていることを確認しつつ、この問題について、両親と両親が最も話を聞きやすい人々との間で会話できるようにすることの方が必要性が高いと言えます。

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