対立の管理方法


ファミリーが好んで使う対立の管理方法を理解しておくことは効果的です。最適な解決法や肯定的な関係をどの程度求めるかによって、5つの対立管理の方法があります。それは、

順応、回避、競合、妥協、協働です。

順応は、犠牲を受け入れ、主張をしない戦略です。関係を維持するために、個人が重要な何かをあきらめる時にとる行動です。順応は対立に勝つよりも関係を維持するほうが重要である時に効果的です。ファミリーの調和を促進しますが、ビジネスにおいては最善とは言えない解決策です。

回避は、対立の源泉が無視される場合に起きるものです。対立の回避は、いずれ直面しなければならない紛争を先送りすることになり、たいていの場合、解決がより困難になるものです。しかしながら、不一致が些細なものである場合には対立の回避が有益である場合もあります。ファミリービジネスにおいては、回避に頼る傾向はファミリーの満足度の低さ、兄弟間の対立や不信感によるところが大きいです。このスタイルの大きな問題は、いずれ大きく膨れ上がって爆発を起こすような不一致を、表出させないまま長期にわたって温存することになることです。

競合は、相手方の意見や気持ちに配慮することなく、自分の力や考えを強要することです。脅しや服従を強いるものになります。ファミリービジネスにおいては、リレーションシップ・コンフリクトを増長させ、業績の妨げになるものです。さらに、怒りや不信を招くことになります。

妥協は、すべての当事者にとって部分的に満足いくような解決をめざそうとすることです。一時的な解決を得ることができますが、対立に対する長期的な解決にはなり得ません。妥協はアイデアに関する議論を制限するものになり、ベストな解決策を見出す可能性を低めることになります。ファミリービジネスにおいては、ファミリーの関係を保つことはできますが、長期的には事業の業績に悪影響を及ぼします。

協働は、個人が共に働き、すべての当事者の関心事を踏まえた、互いに同意できる解決策を生み出すことです。協力関係、コミットメント、組織学習を改善することができるものです。この対立管理のスタイルは、ファミリーとビジネスの両方にとってベストな結果を導くものになります。

Enabling Next Generation Legacies ” Peter Jaskiewicz & Sabine B. Rau 著 

ファミリーの対立、紛争をどのように扱うか より

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