
セブン・スプリングスの武井一喜が11月12日に第17回ファミリービジネス学会の全国大会で発表しました。
18年前、学会発足の時に沖縄で開催され、今回再び沖縄での開催となりました。
大会に際して行われた総会で、武井はファミリービジネス学会の理事に選任されました。
発表のタイトルは、「ファミリービジネスのトランジションと支援者の役割」。
以下、武井の発表内容です。
学会発表:「ファミリービジネスのトランジションと支援者の役割」
ファミリービジネス支援の内容と課題
ファミリービジネスの世代交代において、3円モデルが示すとおりファミリーとビジネスが重複するために、ファミリー内での意思疎通には困難が伴う。そのため、客観的な支援者の役割は極めて重要である。具体的には、報告者は以下のような伴走型の支援を行っている。
- ファミリーガバナンスの構築;税理士、弁護士、税理士との連携による、ファミリー評議会やファミリー総会の設置、家訓、ファミリー憲章、株主間協定の策定
- ファミリーオーナーの教育:リーダーシップ、チームワーク、会社法、コミュニケーションスキルの育成 など。
一方で、ファミリービジネスには以下のような課題が存在している。
- ファミリーの崩壊:コミュニケーション不全、世代間ギャップ、関係構築の不調による依存症、神経症、集合的トラウマなど
- ソリューション提供の限界: 支援者が形式的なソリューションだけを提供することで、成果物が単に資料棚にしまわれるという事態も散見される。適応課題が放置されている。
支援の枠組み:トランジションの支援
ファミリービジネスに関わる全ての人の役割が変化する時期が世代交代期である。これを成功させるために、世代交代を「トランジション(死と再生)」とリフレームして、ファミリービジネスシステムの変容を支援する。具体的には、臨床心理士との連携により個人やファミリー全体のセラピーを併用することで、心理的・感情的な側面にもアプローチする。また、支援者はグランドルールを設定し、システム内の安全を確保し、システムの一部となって喜怒哀楽を共にしながら、家族間の新たな枠組みを構築し、役割、関係の再定義を支援する。
支援の成果:新たな関係の構築
トランジションの支援を行うことで、以下のような新たな家族関係が築かれる事例を紹介する。
- 現社長と後継者の対等な信頼関係の構築、周囲のファミリーの理解と協力の体制が整う。
- 先代が手を放し、次世代が役割を背負う決意を持つ。
- 非就業ファミリーメンバーの理解と支援が進む。
結論と展望:多職種連携による伴走型支援
プロセス全体を支える多職種連携による伴走型の支援は、短期間で成果を出すことは難しいが、ファミリービジネスの持続的発展にとって効果的な方法である。今後、ファミリービジネス支援において、多職種連携がさらに促進されることが期待される。
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