ファミリービジネスの成果 短期か長期か?個人か全体か?

ビジネスには、単年度の短期的な成果が求められる一方、次世代、次々世代にビジネスを渡していくためには長期的な計画が必要です。一刻の猶予もない問題解決や、日々の業務に忙しく終われる毎日に、次世代、次々世代のために30~50年のスパンで物事を考えるのは難しいことであろうと思います。ほとんどのオーナー経営者は、自分の引退時期を決めていないのも実態です。

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両方の時間軸を持つ

ファミリービジネスにおいては、短期(ビジネスの短期)と長期(ファミリーの長期)、両方の時間軸を持つことができる想像力が求められます。非ファミリービジネスにはない時間感覚が必要になるのです。

地方のあるファミリービジネスでは、先々代の社長が、地域の優秀な学生たちに東京の大学に進学するための支援を行いました。尋常ではない規模の支援に対して、まわりの人がなぜそのような支援を行うのかを尋ねると、先々代はこう答えました。

「この人たちには、いずれ孫の力になって欲しい」

その中のひとりは、東京で実績をあげたのち、このファミリービジネスの取締役として、孫世代の経営を支える大きな力となっています。

個人の幸せか全体の利益か

ファミリービジネスを経営する上で、個人の幸福を尊重すべきか、全体の利益を追求すべきか、つまり、個人か全体かという葛藤が起きがちです。イエ制度においては、個人よりもイエ全体を優先するため、ファミリーメンバーは、個人の希望よりもファミリーメンバーとの関係やイエ組織における役割を優先させてきました。戦後個人主義の時代に入り、結婚や職業の選択も個人で決めるべきものになり、ファミリービジネスへの参画も個人の自由であるという前提があります。しかし、その前提を貫けない事情も多くあり、ファミリーメンバーは、個人か全体かという選択を常に迫られているように感じます。

短期的な利益、長期的な展望についても、個人の幸せか全体の利益かについても、
0か100か、黒か白かで考えず、両方の統合を目指すのが良いと考えます。それぞれのファミリーの背景の違い、個人の価値観の違いによるので、ファミリーでとことん話し合い、折り合いをつけていくこと、それが答えです。

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