ファミリーガバナンス:ルール、規程を文書化する

前回に続き、ファミリーガバナンスで議論して作成される文章の典型的なものをご紹介します。

目次

ファミリールール、行動規範

家訓の精神に基づいた具体的な行動指針です。家憲に含まれることもありますが、家憲がまとまるまでの間、独立して定めることも場合によっては必要です。特にコミュニケーションに関するルールを先行して定めることは、ファミリーの集団としての問題解決能力を高めるために効果的です。また、家長(ファミリーのトップリーダー)の承継ルールは、暗黙の了解となっている場合が多いものです。イエ制度の時代ほどの重要性はないものの、いざというときにファミリーのトップは誰かという点をめぐってファミリー内の対立が起きる危険があるため、文章化が必要です。

ファミリー憲章:株主間協定などの規程

ファミリーとビジネスの接点に関する様々な規定です。ファミリー就業規程、ファミリー報酬規程、ファミリー取締役規程、株式売買規程、オーナーズマニュアルなどがあり、これらの総称をファミリー憲章(家族憲章)と呼びます。内容によっては、税理士や弁護士のアドバイスが必要なものもあり、ビジネスに関する情報収集も必要になります。オーナーズマニュアルは、ファミリーとビジネスの関係を取り決めるもので、特に創業者から二代目への移行期、非ファミリーの社長に経営を任せる場合、分散型オーナーシップで複数の大株主がいる場合に有効です。

アクションプラン

ファミリーの具体的な計画を言語化します。年次計画、五か年計画など、ファミリーミーティングの活動計画をはじめ、ファミリーとして参加する社会貢献事業などの計画を立てます。ビジネス、オーナーシップの次世代への移行計画に連動した計画は重要です。

ファミリー史編纂

ファミリーの歴史を記録することは、一族がどこから来たのか、どこへ行こうとしているのかを考え、一族の自己認識を高めるために有効です。ファミリー憲章の補助として位置づけることもできます。ファミリーの歴史には、困難に立ち向かい、それを克服した経験、失敗から学ぶ経験、ときにはファミリーの中の摩擦や対立に対して、先人がどのように対処したのかという知恵を得ることができます。ファミリーの一体感を高めるために、重要な役割を果たすものです。

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