事業承継は、ただ単に社長が交代するという単純な話ではありません。
例えば、非常に強いリーダーシップを持っている、カリスマ性の高いワンマン社長で、すべてひとりで意思決定をしてきたという場合を考えてみます。創業期、社長にすべての意思決定が集中します。それらを迅速に処理していくことで、会社を成長期へと導いていくことができます。創業期は、ワンマン経営が必要な時代です。
しかし、事業が成長し、社員数が50人を超えるようになったとき、あるいは世代交代の時期になったとき、ワンマン経営は問題を起こし始めます。ワンマン社長の決断が現場の感覚とかけ離れてしまうという問題や、後継者が一向に育っていないという問題です。
このような場合、次の世代も同じワンマン経営の形をとるのか、それとも、後継者を中心とする経営チームを作って、後継者はチームを動かすリーダーとして経営していくのか、こうしたことも計画のなかで考える必要があります。そのため、計画は早いほど良いのです。是非10年は見ていただきたいと思います。
例えば、65歳で引退しようというのであれば、55歳のときには、どういう風に引き渡しをしていくのか計画を立て始めてください。これは経営戦略の見直しの非常に良いチャンスにもなります。現役社長が「やろう!」と言わない限り、このことは一切進んでいきません。社長以外にこれをスタートさせられる人はいません。
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