社長引退の4つのパターン

経営学者のジェフリー・ソネンフェルドが、50名を超える最高経営責任者(CEO)の在籍中から引退後にかけての詳細な調査の結果、類型化した研究で4つのタイプを見出します。

君主型

長期在任の当初は会社を成長させるものの、その後、成長も権限移譲も困難な状況になる。必ずしもカリスマ的な、あるいは利己的な人間ではなく、優れたビジョンを持ち、会社を途方もなく成長させることもある。時代の変化と共にそのビジョンや役割が疑問視されるようになり、他界するか、社内クーデターが起きるまで引退しない。

将軍型

協力なリーダーを育てておいて、結局その新しいリーダーに対立するようになることがしばしばある。君主型が外部に挑戦するのに対して、将軍型は内部の争いに強い。社内の紛争を利用して自分を中心に社員全員の士気を高め、使命感を盛り上げる。引退に未練はないと思っているが、いざそのときになると君主型と同様にしぶしぶ引退する。しかし後任者の不適任(事実の場合も、思い込みの場合もある)を理由に権力の座への復帰を画策することもあり、復帰後は会社と自分が栄華を極めるまで留まりたいと願う。

大使型

きれいな引き際。会社を去るに際して、仕事にこの上ない満足が得られたという意を表明し、誇りと喜びをもって引退を迎える。引退後はよき指南役となる。退任後は短時間の出社で後継者の邪魔をしない。取締役を退いても継続的に助言する。

知事型

大きく、成長が遅い会社によくみられる。官僚主義に陥る傾向がある。経営者の役割に愛着を持たないが、自分の影響力を発揮するチャンスに貪欲なため、引退後は別の職業に出口を見つける。きれいな引き際だが、辞めた会社と関係を持つことはほとんどない。

この類型は、非ファミリービジネスも含めた分析に基づくものです。ファミリービジネスの場合、この類型のほかに4つの分野にわたる葛藤や緊張が複雑に絡み合うため、明確に累計をあてはめにくい要素があります。

次回、その4つの分野の葛藤をお伝えします。

『トップリーダーの引退』 ジェフリー・ソネンフェルド

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