ファミリービジネス:個人とファミリー

ビジネスファミリーに生まれた者にとって、個人の幸福を追求することと合わせて、ビジネス(事業)とファミリー(家族、親族)の両者において重要な責任を持ち、その幸福を実現することは生涯の課題になります。

時には双方の利害は相反するものになり、葛藤をもたらすものになります。時には個人の自由を犠牲にしてファミリーの意向に沿うことが求められることもあります。そのような複雑な環境に身を置き、重要な責任を担いながら関係者の幸福を実現するためには、自立した(自律した)個人として関係者とかかわりを持つような、人としての成長・成熟が求められます。

「社長の息子⇒ボンボン、バカ息子」という既成概念があることは事実です。しかし、講演会や勉強会では、私はそのような後継者にはほとんど出会いません。時折、若気の至りと呼べるような言動はありますが、経験を積むにつれて自覚が高まり、真面目さ、誠実さを感じる経営者に成長していく方がほとんどです。

ファミリービジネスは一般企業と比べ、複雑な成り立ちを持っています。そのような複雑さの中に身を置くことは、ほかの境遇では体験できないことであり、人格を磨く場でもあるのです。

上場大企業と違い、多くのファミリービジネスのオーナー経営者は、株主以上に社員を大切にします。ファミリービジネスに勤める非ファミリーの社員にとって、このことは幸運なことと言えるのではないでしょうか。オーナー家の支持を得ながら、やりがいをもって仕事を成し遂げることができます。中には従業員よりもオーナー家を優先させる、身内びいきと呼べるような会社もあり、それは残念なことですが、そのような会社は、何代にもわたって成長し続けることは困難です。

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