親の引退についてどう考えたらよいか

親の引退についてどう考え、話を切り出したら良いのでしょうか。

ファミリービジネスコンサルタントの巨匠 イワン・ランズバーグ氏は、“Enabling Next Generation Legacies ” Peter Jaskiewicz & Sabine B. Rau 著 の中で、このことに回答を寄せています。

ひとことで言うなら、次世代は、empathy (共感)smarts(知恵)が必要です。

Empathy(共感) がなぜ必要かというと、次世代が、親世代がこれまで作り上げて成功させてきたビジネスを手放すことが、なぜそんなに難しいのかを知らないと、親世代と建設的に話すことができないからです。

Smarts(知恵)がなぜ必要かというと、この問題はチェスのゲームのようなもので、全てのステークホルダーが関わる何段階にもわたる戦略が必要な課題だからです。

事業承継は、単独のイベントではありません。継続的なプロセスなので、一回の対話で終わるものではなく、何年もかけて話を続けなければならない、次世代にとっては最も難しい課題です。

Empathy(共感)は最も難しい課題と言えます。なぜなら世代的な非対称性が根底に組み込まれてしまっているからです。親世代はリーダーになる過程を経験しているので子どもたちがこれから経験するだろう課題を理解できる一方で、次世代は、親世代が引退に伴いビジネスがわが身から引き離される心の痛みは経験していません。

次世代は、対話を恐れる必要はありませんが、親世代のこれからのチャレンジをリスペクトし、親世代がシステム全体にこの変化を起こすことになることにもリスペクトが必要です。そこには、忍耐と戦略と知恵が必要です。

ランズバーク氏の示唆のとおり、事業承継は、バトンを渡す方も渡される方も、頭脳と情緒、ハード面とソフト面の両方をしっかりとそして柔らかく、何年にもわたってテコ入れをすべき長期的で情緒的一大事業といえます。

次回に続く

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