ビジネスファミリーの対立、紛争(コンフリクト)をどう扱うのか

ファミリー内の対立、紛争をどのように扱うかを “Enabling Next Generation Legacies ” Peter Jaskiewicz & Sabine B. Rau 著 から考えます。

以下、Enabling Next Generation Legacies からの引用です。

コンフリクト(対立や紛争)はどのファミリーにも起きるもの。これをどのように扱うか、そして建設的なものにするか、破壊的なものにするかはファミリーによって違います。 

特にビジネスファミリーにおいては、ビジネスとファミリーの重複のために、対立は様々な場面で起きがちです。単純に職場の対立を職場に置いたまま家に帰るわけにいかないのです。そのため、次世代を担う人材は、家族、ビジネスの健全な発展のために、効果的に対立を管理する方法を学ぶことが重要です。

対立は“善”か、“悪”か?

全ての対立が悪いわけではない、ということを知っておくのは重要です。“コンフリクト”という言葉は否定的な意味合いを持っていますが、一般に意見の相違や多様さを、つまりファミリーが空気に流されることを阻み、より創造的な解決を見出すことに寄与するものです。

仕事の場面で程よい治療薬になりうるコンフリクトは、タスク・コンフリクトプロセス・コンフリクトです。

タスク・コンフリクトは、目の前の仕事に関する意見の相違です。例えば、どのような戦略をとるべきか? どのようは成果を出すべきか? などです。

プロセス・コンフリクトは、誰がどの仕事に責任を持つか、ということに関する意見の相違です。例えば、どのように成果をだすか? 個人の能力を最大に活かすにはどうしたらよいか?などです。このような生産的なコンフリクトに関する議論は、ファミリービジネスの目標達成、環境変化への適応、適正な人材活用に有益なものです。

一方で、リレーションシップ・コンフリクト(関係の対立)は、どんな場合にも破壊的なものになります。リレーションシップ・コンフリクトとは、個人的な敵意の感覚で、感情的な、打ちひしがれた感覚(例えば、敵意、フラストレーション、腹立たしさ)を伴うものです。これは議論の質を低下させ、恨みや怖れを増大させ、ビジネスとファミリーの安定を脅かすものになります。

特にビジネスファミリーにおいては、内紛はビジネスのニーズへの注意を散漫にさせるため、リレーションシップ・コンフリクトは壊滅的なものになります。大きなリレーションシップ・コンフリクトを持つファミリーは、ビジネスに不向きなファミリーメンバーを採用(映画ゴッドファーザーにかけて「フレド効果」と呼ばれる)する傾向があり、事業承継に失敗する可能性が高い。リレーションシップ・コンフリクトを経験しているファミリーは、ファミリーの絆とロイヤリティを改善し、高めることに取り組む必要があります。

引用ここまで

Enabling Next Generation Legacies: 35 Questions That Next Generation Members in Enterprising Families Ask

我々の経験では、リレーションシップ・コンフリクトは、あたかもタスク・コンフリクトや、プロセス・コンフリクトであるかのごとく、表出してきます。もしいくつかの個別の問題で、繰り返されるパターンや、その背後に共通するコンフリクトの図式が見られるのであれば、リレーションシップ・コンフリクトを疑う必要があるかもしれません。

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