ファミリーオフィス・ガバナンスの概念的基盤を考える

FFIメンバーのアジアの勉強会、Asinan Circleの定例会。

メンバーは学者、研究者、ファミリービジネスコンサルタント、プライベートバンカー、弁護士、ファミリーオフィスマネージャーなど、32名が参加。

今回のテーマは、ファミリーオフィス・ガバナンス。
近年、シンガポールを中心に、アジアのファミリービジネスがファミリーオフィスを設置する動きが加速しているが、様々な考え方があり、混とんとした状態である。

そこで、アジアならではのファミリーオフィスに関する概念的な基盤となるフレームワークを考えよう、というのが今回の趣旨。

たたき台として、Andre Loh氏が作成した概念図を基に、SFOを想定して意見交換した。

Andre Lohの概念図

・ガバナンスのレベルは、ファミリー⇒コーポレート(組織)⇒活動の順に監督から執行へとつながる

・それを支えるのが原則・人・方針・プロセス・構造

・これらを明確に定義することが重要

FFI Practitoner May 22, 2024 より
https://digital.ffi.org/editions/family-office-governance-an-asian-business-family-perspective/

※ SFO:Single Family Office ひとつのファミリーの資産(知識、経験などの無形の資産も含める)を管理、発展させるための組織。法人格を持つ場合が多い。

参加者からは、

  • ファミリーオフィスの目的を明確に定めること
  • どの様な機能、サービス範囲を持たせるのか
  • どの様な活動原則を設定するか
  • 意思決定は誰がどのように行うのか
  • 撤退に関する指針を決めておくこと
  • ファミリー・ガバナンス、ファミリービジネス・ガバナンス、オーナーシップ・ガバナンス、ウェルス・ガバナンスの境界線を定めておくこと
  • 限られたファミリーメンバーだけのリーダーシップでは動かないようにする
  • 既にファミリーが持っているガバナンス(ナチュラルガバナンス)との兼ね合いに注意する
  • オーナー間、また世代間の価値観の共有が大切
  • 個人の試算とファミリーの共有資産の区分を明確にする
  • ファミリーのビジョン、ミッション、バリューとの整合性

など、様々な意見が出されました。

私が出した意見は、世代を超えた発展を視野に入れた場合、ファミリーオフィス・ガバナンスは、ファミリーガバナンスを中心置いて考えるべき、ということ。

ファミリービジネスアドバイザーの心得として、

  • ガバナンスのテーマが中心課題であること
  • 第三者の視点を維持して独立性を保つこと
  • 多業種の連携を志向すること
  • ファミリーの力動を理解すること
  • プロセス支援とソリューション支援のバランスを考えること
  • 出来るだけシンプルであることを志向する
  • アセスメントをしっかりと行う事

などが話されました。

ファミリーオフィスの設置は、ひとつの会社を立ち上げるのと同様の準備が必要です。
設計や運営の仕組みづくりなど、セブン・スプリングスがお手伝いさせていただきます。

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