ファミリービジネスにおいて、所有者であり、経営者であるリーダーも、経営に携わらないファミリー株主も、委託された株主・経営者としての責務を全うし、次の世代に引き渡すことを目的としています。
聖書には、スチュワードシップという言葉こそ出てきませんが、神に与えられた賜物の管理人としての人間としての在り方が説かれています。
ある人が3人の下僕を呼び、ひとりには5タラント、ひとりには2タラント、もうひとりには1タラントを渡し、旅に出ます。5タラント預かった者はすぐにそれで商売をして、さらに5タラント儲けました。同様に、2タラント預かった者もさらに2タラント儲けました。ところが、1タラント預かった者は土を掘って主人の金を埋め、隠しました。旅から戻った主人は、5タラントを預けた者を誉め、より大きな権限を与えます。しかし、1タラントを預けた者に対して、しっかりと財産を守ったにもかかわらず、この者を追い出します。
聖書の逸話には様々な解釈の仕方があるとは思いますが、財産の管理人としての義務は、ただそれを守るだけでなく、最大限に活用し、富を生み、委託者に戻すものであるという精神を物語るものではないでしょうか。スチュワードシップという理念は、キリスト教の文化に親和性の高い理念であると言えるでしょう。
欧米のファミリービジネスにおいては、血統主義とスチュワードシップが発展し、永続するファミリービジネスの根底に組織原則として脈々と流れているのです。
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