欧州委員会のファミリービジネス報告書

昨年11月、欧州委員会に報告された、
ファミリービジネス・セクター育成を推奨する報告書がある。
概要は以下のとおり。

ファミリー企業は重要な存在である。
それは、単に経済面の貢献、というだけにとどまらず、
長期にわたって安定した存在であり、
地域社会に対する特別なコミットメントと、
オーナーとしての責任感、
よって立つところの価値観の強さ、
という観点からである。
これは昨今の金融危機という背景において、特に重要である。

ファミリー企業は、ヨーロッパの企業の60%以上を占めており、
企業規模、業界は多岐に渡る。
中小零細企業のほとんどはファミリービジネスであり、
ファミリービジネスの大部分は中小零細企業である。

ファミリービジネスを考える際に、
「オーナーシップ」という概念は重要である。
オーナーシップに関する我々の知識、
特にオーナーシップがどのようにファミリー企業のビジネス行動に
影響を与えるかに関する知識を高める必要がある。

ファミリービジネスの経済、社会に対する貢献に関して、
政策立案者が知識不足であることによって
ファミリービジネスに悪影響を与えていることも多い。
例えば贈与税、相続税に関連する財務的な問題、
会社のコントロールを保ちながら行える資金調達、
再投資に対する優遇税制などである。

また、ファミリーの内的な問題、
例えば早期の事業承継の重要性、
ファミリー、オーナーシップ、ビジネスのバランス、
熟練従業員の採用、雇用維持の困難さ、などである。

その他、教育、研究の重要性、企業家育成、
ファミリービジネス特有の経営者教育などがある。

EU各国において、
ファミリービジネスに対する制度的、政治的な枠組みの違いがあり、
ファミリービジネスに対する施策もまちまちである。
税法、事業承継、教育にかんし、
加盟各国のファミリービジネス施策のグッドプラクティスを交換し合い、
ファミリービジネスセクターの発展に寄与すべきであり、
欧州委員会がこの役割を担うべきである。

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