ビジネスには発展のサイクルがあります。(下記の表を参照)ベンチャーとして企業家精神を発揮する「創業」段階、マーケットシェアを一気に拡大させる「拡大/組織化」段階、大きなキャッシュフローが見込める「安定成長」段階、そしてビジネスは「衰退/再生」段階を迎え、新たな製品、市場、ビジネスを開拓して事業を継続させる必要が生じます。
製品、サービス、市場によって、ひとサイクルの期間は違いますが、早ければ数年、長い場合でも10年~20年で一つのサイクルは終わりを迎えます。特に近年ではこのサイクルがどんどん早くなっています。
1)創業期
商品、サービスを開発し、試行錯誤の中で市場を開拓する段階です。仕入先や社員への支払いのための、銀行の信用もまだ得られない中、キャッシュフローが最も重要な管理項目になります。人材、資金ともに乏しい中で、夫婦で協力し合い、子供の手も借りながら、昼間は営業、夜は商品開発という状態が続きます。一人が何役も引き受け、ストレス過剰になりがちな時期です。
2)拡大/組織化期
順調に顧客が増え、市場で一定の評価を得ることができると、拡大、成長の段階が始まります。管理運営の仕組みの整備が始まります。毎月の決済資金は安定しますが、その代わりに、今度は事業拡大のための資金調達が課題になります。予算による管理が始まり、社員の採用やインフラの整備に時間がとられます。夫婦の会話の時間が少なくなりがちで、夫婦の危機が起きやすいのもこの時期です。創業期から拡大期にかけて、創業者は、誤解を恐れず言えば、ある種の「狂気」の心理をまとった状態であり、だからこそ事業を起ち上げることができるのですが、続く安定成長期、再生期において、ファミリーメンバーがこの「狂気」をうまく扱うことができるかどうかが永続のための課題になります。
3)安定成長期
成長のスピードが収まり、安定してくると、いかに組織を作っていくかが課題になります。社内の役割分担が進み、専門化された組織形態に分かれていきます。家族的な雰囲気と、プロフェッショナルな組織形態のバランスが課題になります。社内の規定や個人の評価システム、資産の有効活用が経営の課題になります。この時期はキャッシュフローがもっとも豊かな時期であり、ファミリーは金銭的な恩恵を受けますが、公私混同も起きやすい時期で、ビジネスとファミリーの境界線を明確にする必要が生じます。
4)衰退/再生期
どんなビジネスでも、いずれは衰退する時期がきます。既存の市場が縮小する中で、いかに次の手が準備できるかが課題です。新製品、新市場の開発、事業の統廃合、新規事業開発など、早急な意思決定が求められます。人材育成の成果が現れるのもこの時期で、後継者への事業継承が課題になります。
世代を超えてビジネスを発展させるためには、毎世代がベンチャーであることを認識してビジネスに取り組む必要があります。
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