ファミリービジネス:オーナーシップの発展段階

オーナーシップの発展のパターンは、ファミリービジネスの組織原則に直結したテーマであるため、少し詳しく見ていくことにします。

オーナーシップの発展パターンは、二つに大別することができます。毎世代、一人のオーナーに株式を集中させる、「集中オーナー型」と、子供たちに均等に株式を配分する「分散オーナー型」です。

集中オーナー型は、長子相続制を反映したもので、日本のみならず、欧米にも多くみられるタイプです。農地が重要な経営資源であった時代には、「田分け(たわけ)」という言葉がそれを戒めている通り、財産を代々子供たちに分配すれば、限られた土地はどんどん小さくなり、生活が苦しくなります。それを避けるための知恵が、長子相続制です。

ファミリーの主要な資産が会社の株式である、現代のファミリービジネスにおいては、田畑が重要な生産資源であった時代とは異なり、企業が成長していれば分散オーナー型においても一族が配当で生活することが可能ですが、通常は、ビジネスの成長の速度はファミリーの成長速度よりも遅いため、分散オーナー型で一人あたりの資産が減らない状態を維持できるファミリービジネスは、それだけで優秀であると言えるでしょう。

分散オーナー型は、株を子供たちに均等に分配する形態です。このタイプは欧米に多く見られますが、わが国でも、たとえば兄弟で創業したファミリービジネスなどに見られます。子供たちを公平に扱いたいという親の気持ちを満たすことができますし、相続人の子供に遺留分として均等な相続財産を保証する民法の精神にもマッチしています。

分散オーナー型の発展は、以下のような段階を踏みながら成長していきます。

1)単独所有
創業の世代はほとんどがこの形態です。夫婦で共同オーナー、という形も一般的です。最近は、銀行借入、社債発行などの負債による資金調達ではなく、ベンチャーキャピタルなどに対して株式を発行して資金を調達するエクイティファイナンスも盛んになり、早い段階で親族以外の株主が参加するケースも多くなりました。

2)兄弟姉妹共同所有
兄弟のいさかいを避けるために、財産を子供たちに均等に配分したいという親の思いもあり、会社で働いているかどうかにかかわらず、株を均等に分けるケースが多くあります。そのように会社の株式会社を相続した場合、兄弟姉妹共同所有の段階になります。この段階になると、いかに兄弟姉妹が、コミュニケーションをとり、チームワークをよくしていくか、あるいは、分家の派閥が起きないために何をしていくのか、というようなことがテーマになってきます。ビジネスの使命感や株主としての責任・義務を伝えることなく単独所有を遺産分割で子供たちに分けてそのまま放置した場合、多くのケースで兄弟姉妹の所有者は互いに株主としてのコミュニケーションをとることが無くなり、ファミリーのビジネスに無関心は株主を増やすことになります。これは将来の大きな不安材料にります。

3)いとこ集団所有
さらに次の世代には、従兄弟同士で株を持ち合うことになります。第3者への分散を防ぐため、子供がいない家族から株を買い上げるなどの対策も必要になります。また、中には急な資金が必要になり、株を買い取って欲しいという者も出てきます。その様なときにどう対応するのか、いくらで買い取るのか、というルールがこの段階には必要です。

※点線は単独オーナーを毎世代続ける我が国に多く見られる形態

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